PALE FIRE

自主制作映画等いろいろ作って遊んでいます。

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Circuit in Scarlet

世界観と人物設定   解説:史法力

●舞台となる世界  

西暦2000年、世界大恐慌と企業の群雄割拠  

 西暦2000年代後半、既に行き詰まっていた世界経済に、大恐慌という名の嵐が吹き荒れた。先進国を中心に大都市の経済は破綻、最早国家というものは有名無実な存在となり、 一部の社会主義国家を除き、行政や司法は大都市に居を構える巨大企業に委ねられること となった。勿論、日本もその例外ではなかった。弱小企業は度重なる不況のあおりを受け て次々と倒産、或いは大企業に吸収合併される形となり、その結果、巨大なコンツェルン の誕生を促すこととなった。それに対し日本政府は不況打破のための政策を次々と行うも のの、現状を変えるどころか状況は最悪の一途を辿り、むしろ更に多額の借金を巨大企業 に対して背負うこととなっていった。そのため、政府は最終手段として貨幣の大幅な濫造 に踏み切った。
 しかしそれは、国庫における借金の返済を容易にすることにはなったのだ が、国家の寿命そのものを縮めるものでしかなく、貨幣の濫造は過度のインフレを招いただけで、更なる不況の元となってしまったのである。(この貨幣の濫造については、サワムラ・コンツェルンが裏で糸を引いていたとの説もある)結果、日本政府は瓦解、東京、 名古屋、大阪等の大都市は企業によって買収され、都市機能の全ては他の国々と同じよう に直接、各企業に委ねられることとなった。  

西暦2100年代、人と機械の融合。  

 日本の主要都市を次々と買収していった巨大企業は、独自の自治体制を敷き始めた。その結果、都市の中心部のみが発展し、周辺部の治安が乱れるという事態が起こった。巨大企業の恩恵を受け都市部に住居する者と、周辺部のスラム化した街に住む者との間に、大幅な貧富の差が生まれ始めたのである。
 この頃から日本の経済復交のニュースは全世界を駆け巡り、各国の失業者達が日本に仕事を求め流入し始めた。しかし外国人労働者の大半は正規の手続きを受けていない密入国者であったのだが、既に弱体化していた日本政府は 密入国者をいとも簡単に見逃してしまう結果となった。しかし仕事を求め、日本にやって 来た外国人労働者達は都市部に入ることは出来ず、周囲のスラム化した街に押し込められた。最早、故郷に帰る事も出来ず、そこで暮らすことしか出来なくなった彼等は、いつ来るか知れないチャンスを待ちながらスラムの片隅で生きて行く以外になかった。  

 日本国内における経済紛争はサワムラ・コンツェルンVS他企業共同戦線という微妙な均衡で成り立っていた。しかしそこに、その均衡を破る新興企業が現れた。ナガシマ・イ ンダストリーである。ナガシマ・インダストリーは飽和状態にあったネットワーク産業に新たな技術を導入することで、企業紛争に参入してきたのだ。“機械と人間の融合”という新たなコンセプトを引っ提げ、突如として台頭してきたナガシマ・インダストリーは弱小勢力を取り込み、一気に巨大企業として膨れ上がっていった。そしていつしかその勢力 はサワムラ・コンツェルンにも比肩しうる巨大な勢力となっていった。

西暦2200年代、経済紛争から武力紛争へ、或いは諜報戦。盗みも殺しも日常茶飯事。

 サイバネティクス産業により巨大な成長を遂げたナガシマ・インダストリーは、サワム ラ・コンツェルンを上回る勢力となった。しかし、サワムラ・コンツェルンも黙って指を くわえて見ている、という訳ではなかった。遅ればせながら、サワムラ・コンツェルンも サイバネティクス産業に参入し始めのだ。しかし、次々と新企画、新商品を発表するナガ シマ・インダストリーの勢いは止まる所をしらず、その差は徐々に開いていった。

 そんな中、サワムラ・コンツェルンは一つの決断をする。それは埋もれた人材の登用であった。彼等が目をつけたのは、スラムに住む中国人違法サイバネティクス医師、Dr.火竜であっ た。サワムラ・コンツェルンはすぐさま火竜を登用、開発部主任兼特別顧問に任命し、企業紛争に討って出た。 火竜の功績により、その分野でも業績を上げ始めたサワムラ・コンツェルンであったのだが、今一歩のところでナガシマ・インダストリーの牙城を崩すには至らなかった。そんな中、ナガシマ・インダストリーの開発部顧問であるジーン・スタルヒンが暗殺されるとい う事件が起きた。ナガシマ・インダストリーはすぐさまジーン・スタルヒンの後釜にドク トル・ファルコンを据えるが、ジーン・スタルヒンの穴を埋めるには至らなかった。その 結果、サワムラ・コンツェルンは次第に勢力を盛り返し、ナガシマ・インダストリーとの差はほぼ無くなった。

 

組織と登場人物紹介

サワムラ・コンツェルン    

 日本を二分する巨大企業の片翼。西暦2000年代に、創始者沢村正明によって設立された。

その人材

ジェファーソン・サワムラ

 総合産業共同体であるサワムラ・コンツェルンの現会長。外見は二十代前後の青年に見えるが、実年齢は三十代後半。感情の起伏が激しく、情緒不安定なところもあるが、その反面、優れた政治的手腕の持ち主でもある。

火竜(ホウォ・ロン)     

 サワムラ・コンツェルンの開発部主任にしてジェファーソン・サワムラの懐刀。
 サイバネティクス産業において、一歩遅れを取っていたサワムラ・コンツェルンのテクノロジーをナガシマ・インダストリーと並ぶ位置にまで押しあげた最大功労者である。
 彼のIQは300以上とも言われ、学者としても技術者としても超一流であり、こと脳医学に関しては世界でもトップクラスの実力者であると言われている。外見上は30歳前後に見えるが、実際には200歳とも300歳とも言われており、過去やプライベートについては、一切が謎に包まれている。

火竜の年齢について

火竜は自らのプライベート・ラボにおいて自分のクローンを多数製作しており、古くなった臓器や組織をクローンから移植して、その寿命を引き伸ばしている。この事は雇い主であるジェファーソン・サワムラも知らないことで、火竜の子飼いの研究員達だけの秘密事項となっている。

 

アルフレッド・ジョウント

 サワムラの秘書兼執事。彼は人間ではなく、火竜によって造られたアンドロイドである。そのため、従順さという点においては、人間のそれに比べて遥かに強い。

 

レイ・グリーン

 サワムラ・コンツェルン最強の戦闘用サイバーにして絶世の美女。
 彼女は反応速度を中心にして強化されており、麗妖剣と呼ばれる刃渡り90cmの日本刀型の単分子ブレードを使用することにより、その能力を最大限に発揮する。
 元々彼女は戦闘用サイバーではなく、サワムラ・コンツェルンの開発部に勤める女性研究員の一人だったのだが、彼女の恋人でもあるサワムラ・コンツェルンNo.1の戦闘用サイバ ーであるユタカ・オオイが、ナガシマ・インダストリーのミスター・ナイチンゲールに殺されたため、自ら志願して戦闘用サイバーとなることを決意し、現在に至っている。

 

レッド・不知火・ムスタング

 超虚弱体質、薬物中毒、その上金にだらしなく、下衆で町の嫌われ者。当然サイバーであり、煙草も酒も全くダメ。と“狼”とは正反対のキャラクター。
名前の通り、いつも悪趣味な真っ赤なスーツを着ている。
 何の役にも立たない「クズ」の筈だった彼だが、火竜が研究中の新種のサイバネティクス手術に適した特殊な体質を持つが為に、サワムラ・コンツェルンに迎え入れられ、物語に巻き込まれてゆく。

 

ナガシマ・インダストリー

その人材

トーマス・マッコイ・ナガシマ  

 ナガシマ・インダストリーの社長。ジーン・スタルヒンが開発した延命装置により、会社創立から現在まで生き続けている。

 

ジーン・スタルヒン

 ナガシマ・インダストリーの開発部顧問。小さなソフト開発会社にすぎなかったナガシマ・インダストリーを巨大サイバネティクス企業に押し上げた最大功労者。最早、彼の名は伝説の域に達しており、その頭脳と手腕は神業とさえ言われる。  

 

ドクトル・ファルコン

 ナガシマ・インダストリーの現開発部顧問。彼自身、優れた科学者なのだが、なにかとジーン・スタルヒンと比べられるため、情緒不安定気味なところがある。

 

ミスター・ナイチンゲール

 ナガシマ・インダストリーの保安部主任。ジーン・スタルヒンの最高傑作と言われており、その戦闘能力は高く評価されている。暴力と破壊をこよなく愛し、一騎打ちにおいては負け知らずである。

 

ムッシュウ・ウィンスロー

 ナガシマ・インダストリーの営業部主任。さしたる発言をするわけでもなく、なぜ重要なポストについているのかわからない謎の人物。金属製の仮面をかぶっており、その中の表情を読み取ることは出来ない。

 

その他の人々  

マッイイツォ・ジル・ヤシマ    

 私立探偵、通称“狼”。オオサカ・シティのスラムに住んでいる。ファーストネームであるマッイイツォは、ネイティブ・アメリカンのナバホ族の言葉で“狼”を意味する。スラムの住人でありながらもその名と実力は広く知れ渡っており、最強と名高 いナイチンゲールですら一目置く存在である。
 特筆すべき点は、彼が生身の肉体の持ち主であることで、サイバネティクス・オルガナイズを全く受けていないにも関わらず、不屈の精神力と闘志で優れた戦闘能力を持つ改造人間(サイバー)と、互角以上に渡りあってきたところである。
 年齢は25歳前後、浅黒い肌に彫りの深い顔立ち、おさまりの悪い強い癖毛を肩の辺りまで伸ばしている。利き腕は左。母親はナバホ族の出身者だが、父親は純粋な日本人であり、有名な環境テロリストで、“狼”は幼い頃から優れたテロリストになるための英才教育を受けていた。また、生身の肉体にこだわる理由は、自然崇拝に重きを置いたナバホの信仰を内に持つ母親の影響である。本編の主人公。

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